神刻 ・ ・ ・聖夜




―――なんでお前がここにいる……?

―――私は今、この時間を生きる人間なんですよ……
現名は橘義明。まぎれもなくこの時代に生まれた一人の男です。だから、直江信綱とは全くの同一人物ではないんです。
けれど、あなたをずっと探していました。
約束を思い出した時からずっと、たったあれだけの手がかりをもとに、ずっとずっとあなたを探して……ようやく四年前にここを探し当てたんです。それから、星の降る夜は毎晩ここへ来て待ちました。
長かった。
必ず逢えると信じ続けて、それでも気が狂いそうでしたよ……

―――直江……

―――そうです。呼んでください、高耶さん……
そうして初めて俺は確かなものになる…… 呼んでください、俺を。あなたの声だけが俺に届く。あの時からずっと。あなただけが。
呼んでください。俺を、俺だけを呼んで。

―――直江……何度でも呼んでやるよ……
なおえ……直江……!

―――俺はここにいるんですね。あなたがここにいるんですね……

―――ああ。オレが保証してやるよ。お前はここにいる。オレの前にこうして生身のお前がいる。
あったかい。
体温がある。
お前の手はやっぱりこんなにあったかかったんだな……

―――あなたは冷えてこんなに冷たくなってしまっていますよ。
これ以上外にいてはいけませんね。風邪をひいてしまいます。
……行きましょうか。

―――どこへ?

―――どこへでも。あなたのいるところが私のいるところです。

―――じゃあ、ここにいよう。今夜はずっとここで星を見ているんだ。

―――冷えますよ。こんなに寒い夜に外ですごしたら。

―――二人だから大丈夫。お前がいない間、オレはこごえてたけど、今はここにいるから。
お前がいれば、寒くなんてならない……

―――そうですね……では、しばらくこうしていましょう。

降る星を、数えてすごしましょう―――




... SEIYA ver. : end


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