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今でも、金曜日になると思い出す。
空を飛ぶ小鳥を見るたびに思い出す。

―――あなたは籠の中の鳥じゃない。
どうかあなたの翼を畳んでしまわないで。自由に羽ばたいて。
そして金曜日だけは私の所へ戻ってきてください―――

そう、あの温かな声で言った、世界一優しい男。
世界一優しくて、誠実で、そして、嘘つきな男。

今でも覚えている。
ずっと―――覚えている。


身も心も溶け合うほどに愛し合った日々を。
すっかり過去のことになってしまった今でも、決して忘れない……



プロローグ 終
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(image : by COOL MOON