fromLOVE - STEP4 -



 part.2

 高耶は、何かもの言いたげな男を無視する形で一気に事の次第をまくしたてた。
 相手にも言い分はあるだろうが、そんな電話があったのは事実である。
 先日、そういうことがあったらどうする、というような話をしたばかりで、こういう状況になると、どうしようもなく過敏になってしまうのだ。
 別段恋人を疑うつもりはないが、それにしてもこのシチュエーションは疑わしすぎる。

 間違い電話でないのは確かだ。最初に名前を呼んでいるのだから。それも下の名前で。
 いかにも仕事のできる有能な女性という喋り方だった。
 語気は強かったものの手短に的確に用件を述べた声も知的な感じで、何となく姿かたちも美人なのだろうと思ってしまったくらい。
 話し方を聞けば人柄はだいたい想像がつくというが、それでいくとこの女性はおそらく恋人よりも幾つか年上で、リーダーシップに溢れた美人のキャリアウーマンであろうと思う。
 恋人は確かに極度のマイペース型だから、ぐいぐいと引っ張って行ってくれるこういう女性と付き合ったら案外丁度いいのではと思った。

 ―――女じゃあるまいし、自分の言動はどこかおかしいなと、頭の中のどこか冷静な部分が呟く。恋人の心が自分以外に向いていると決まったわけでもないのに勝手に嫉妬して、グルグル悩んで。


「あのね、高耶さん」

 恋人が肩を抱いて顔を見ようと引き寄せてくるのを、無理矢理振り返って叫ぶように噛み付いた。

「何だよ!電話の人、テキパキしててしっかり者って感じだった。優しい直江とはお似合いじゃねーのか。オレなんか直江に甘えてばっかりだけど、さっきの人だったらきっと直江のためにも力になると思う。
 ―――直江のためにだったら……オレ、いいよ。出てく。気にしなくていいから。直江が幸せになれるんだったらオレも幸せだか……ッ」

 半ば喚くように青年は言ったが、みなまで言わせず男はその唇を塞いだ。
 反射的に逃げようとするのをきつく抱いてとどめ、深いくちづけを貪る。


「……んぅ……っ」
―――あのね。
「は……」
―――決め付けないで。落ち着いて。
「ふぁ……」
―――まずは話を聞いてください。


 キスで伝わってくる言葉が、まるで、調教されている悍馬になった気分だ。
 そう、自分という暴れ猫をおとなしくさせるには、これが一番効果的。

 でも、ちょっと不公平な気もする。キス一つでこんなに簡単におとなしくさせられてしまうなんて。


 続く。
あ、今回も見つかりましたね。(part.1を読まずにここを発見してしまったお方はQ2のページにて探してみてください。)

このページはちょろっとだけラブなので、表に置いていると恥ずかしい気がします。てれてれ。
乙女チックモード全開の高耶さんもてれます……

ほくそ笑んでいただけていたら嬉しいですvv

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